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1000回目を刻んだF1の歴史。
王者たちが込めた万感の思いとは。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2019/04/21 08:30
1000回目のレースを制してアラン・プロストのチェッカーを受けたのは、王者5回のルイス・ハミルトンだった。
フラッグを振ったプロスト。
1000回目のレースでは、過去4度のチャンピオンに輝いているアラン・プロストがチェッカーフラッグを担当した。
プロストにも悲しい記憶がある。'93年までセナと幾多の名勝負を演じてきたプロストは、引退した翌年の'94年のサンマリノGPで、テレビのコメンテーターとしてサーキットを訪れていた。自らが解説するレースで、最大のライバルの死を目撃したのだ。
そのプロストが振るチェッカーフラッグの下を真っ先に通過したのは、メルセデスのルイス・ハミルトンだった。
だが、この日の勝者は彼1人だけではない。これまでの1000回のレースに参加し、レースを戦った774人すべてのドライバーが勝者であり、ヒーローである。
「あなたたちがいたから、私たちは1000回目を迎えることができたのだから」
そういう思いを馳せながら、プロストはチェッカーフラッグを振っていたに違いない。