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学生服姿の少年が見せた悔しい顔。
9年後の昌子源は「物凄く、成長した」。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2019/03/31 10:30

学生服姿の少年が見せた悔しい顔。9年後の昌子源は「物凄く、成長した」。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ロシアW杯以来となる代表のピッチに戻ってきた昌子。守備陣を統率する存在として期待したい。

チャレンジすることが1番大事。

 9年後のボリビア戦の後、学生服姿の自信なげな表情だった少年が、今はロシアW杯戦士、そして日本代表の主軸として、代表ジャージを身に纏い、同じミックスゾーンで堂々たる受け答えをしている。

 さらにこの試合に出場していた安西ら、後輩について話が及ぶと、彼はこう答えた。

「正直、最初はやや硬いなと思ったのですが、慣れるにつれて乾(貴士)くんへのパス、(中島)翔哉へのパスが多くなったと思う。細かいミスはあって当たり前やと思うし、やっぱりこういう舞台はチャレンジしないともったいない。後悔して欲しくないんです。『こうしておけばよかった』と思っても、もう1度呼んでもらえる保証もない場所なので。試合に出たらチャレンジをすることが1番大事。『次呼ばれるために、安パイなプレーをしよう』と考えるのはもったいないと思うんですよ」

 この言葉を聞いた瞬間、9年前のことについて聞いてみたくなった。

「9年前、ここで話を聞いた時とは全然違うよね」

 すると、昌子はと懐かしそうな表情を浮かべた。

「俺、あれから成長した?」

「U-19あったね。思い出した、思い出した、確かにここだったわ。あの時、自分のプレーにまったく納得できなかったし、そこから呼ばれなくなったことも覚えている。本当に苦い思い出ですよね。

 なんか感慨深いですね。U-19ではあれが最初で最後やったわけで、それが神戸の地というのも、縁というか……。苦い経験として刻まれているし、安藤さんにいわれたことも覚えているもん。プレーが全然あかんかったこともよく覚えているし、嘉人さんにホンマに歯が立たんくて、ボロボロにやられたよね……。俺、あれから成長した?」

 本心を伝えた。

「自分が言うのもおこがましいけど、物凄く、物凄く成長した」

 笑顔を浮かべた昌子はこう続けた。

「代表というのは厳しい目はあるけど、どんどんチャレンジをして、ミスを恐れないでほしい。実際に、U-19の時の俺は、ビビって縮こまってしまっていた……。そういうことを考えると、今日は試合に出て、このスタジアムで『あの時とは違うぞ!』というところを見せつけたかった……。

 今日ここにいた2万数千人の人が知らなくても、1人が分かってくれていて、その人に向けて『あ、成長したな』と思わせるということは、人間として難しいことやと思うんですよね。それが確認できただけでも、今日は凄く大きな価値はあると思う」

【次ページ】 反骨心があったからこそ。

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