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メジャーリーグ開幕戦初勝利を飾った
田中将大が語る自らの強み。 

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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photograph byNaoya Sanuki

posted2019/04/03 11:00

メジャーリーグ開幕戦初勝利を飾った田中将大が語る自らの強み。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

自分の中で整理して投げることの大事さ。

 今でも覚えている試合があります。それは中学2年生のときの夏の県大会予選の決勝。最終回、一打出れば同点、長打が出れば逆転の場面で、僕に最終打席が回ってきたんです。ここで打って、勝てば全国大会という場面で、僕は中途半端なスイングをして、ライトへのファールフライでゲームが終わってしまった。

 そのときに感じたのが自分の気持ちの弱さ。このままじゃいけない、どんな時でも気持ちを強く持って、試合に臨むことができるようにならないといけないと強く思いました。

 そんな経験もあって、今では自分のストロングポイントはセルフコントロールと言えるまでになりました。ゲームのなかで一球一球どう思いながら投げるか。目の前のことに全力で臨み、いかに信念を持って投げられるかはすごく大切です。なぜその1球を投げるのか、どういう考えがあって投げるのか。なんとなくでは絶対ダメですね。そりゃあ、僕だってなんとなく投げたことはあります。だからこそ、しっかりと自分の中で整理して投げることの大事さが分かる。なかには何も考えないで、キャッチャーのサイン通りに投げているピッチャーもいますからね。

明石家さんまさんの考え方、すごいなと。

 ときには負けることもありますけど、ゲームが終わってしまえば、気持ちはなんとでも立て直せますから。例えば、一般社会に置き換えるとしたら、失敗して怒られたとします。なぜそういう失敗をしたのかというところをまず考える。自分のミスであればどうするべきかを考えるし、もし理不尽に怒られただけだったら気にしなきゃいい。自分ではどうしようもできないところを悩んでいても仕方ないじゃないですか。だったら楽しいことをして、次の日に新たな気持ちで向かっていけばいいんです。

 そういう意味ですごいなと思うのは明石家さんまさんです。何度かお会いする機会があったのですが、一見ネガティブに捉えそうなことでも、すべてをすごくポジティブに考えるんですよ。さんまさんにとってはとくに意識もしていない、自然なことなのでしょうが、こういう風に物事を捉えられたらいいなとすごく思ったんですよね。

 結局は、すべて気持ちなんですよ。自分を動かすのも気持ち、勝負を決めるのも気持ち、自分の中での物事の整理の仕方もすべて、自分の気持ち次第でどうにでもなる。勝負はもちろん、何事においてもそれが一番大事だと思っています。

田中将大

田中 将大Masahiro Tanaka

1988年11月1日、兵庫県生まれ。駒大苫小牧高2年夏の甲子園、優勝を決めた1球は2年生として史上初の150kmを記録。3年夏は決勝再試合の末、早稲田実業高に敗れ準優勝。2007年ドラフト1位で東北楽天ゴールデンイーグルスに入団。2013年はシーズン24連勝で球団史上初の日本一に。2014年よりニューヨーク・ヤンキースに移籍。昨年まで5年連続で二桁勝利を達成。今季は日本人最多となる4度目の開幕投手を務めた。

新しいナビゲーターに俳優の田辺誠一さんを迎え、番組デザインもリニューアル。アスリートの「美学」を10の質問で紐解き、そこから浮かび上がる“人生のヒント”と皆さんの「あした」をつなぎます。スポーツ総合誌「Number」も企画協力。

第49回:田中将大(野球)Part.1

4月5日(金) 22:00~22:24

メジャーリーガーの田中将大投手は、名門・ヤンキースの背番号19を背負い、日本人初となるMLBデビューから5年連続二桁勝利を達成。かつては“マー君”の愛称で親しまれた彼も今年でプロ13年目を迎え、年齢も30歳に。野球をする上で大事にしている美学とは?

第50回:田中将大(野球)Part.2

4月12日(金) 22:00~22:24

田中将大投手が番組初の2週連続で登場。彼が長丁場のシーズンを乗り切るために大切にしているのはゴルフや魚釣りや競馬などの趣味。今回はプライベートゴルフに密着。笑顔が溢れ、全力でオフを楽しむ姿から見えてくる素顔に迫ります。

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