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早くも2019年のベストバウト候補。
田中恒成と田口良一がついに決戦。
posted2019/03/15 10:30
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Kyodo News
WBO世界フライ級タイトルマッチが16日、岐阜メモリアルセンター愛ドームで行われる。
チャンピオンの田中恒成(畑中)は世界最速タイの12戦目で3階級制覇を達成した23歳の俊英。挑戦者の田口良一はライト・フライ級でWBAとIBFの統一王者となった32歳の実力者だ。早くも年間最高試合候補と呼び声高い注目の一戦をプレビューしよう。
高校時代に全国大会4冠を獲得した田中は、井上尚弥のプロ6戦目を塗り替える5戦目で世界王者となり、キャリア12戦で3階級制覇を達成した“エリートボクサー”だ。
たぐいまれなスピードと、「次の動きを把握し、先を読んでボクシングをしている」と田口が評価するクレバーさを備え、なおかつ昨年9月の木村翔(青木)との戦いでは、打撃戦が真骨頂のチャンピオンと猛然と打ち合うシーンを披露して一段と評価を上げた。
ここまでの戦績は12戦全勝で7KO。オールマイティーでありながら、23歳という若さで、まだ底を見せていないというのも田中の魅力と言えるだろう。
一方の田口はアマチュア経験のない、いわゆる叩き上げで、派手さはないものの旺盛なスタミナと、前に出てコツコツとパンチを打ち込む愚直なスタイルで濃密なキャリアを重ねてきた。
初の日本タイトル挑戦はドローでベルトに届かず、その後、日本王者になるも、'13年8月の初防衛戦で“怪物”井上に敗れてタイトルを失った。
それでもこの敗北から立ち上がり、'14年大みそかにWBAライト・フライ級の世界王者になると、7度の防衛に成功。'17年大みそかのV7戦はIBF王者との統一戦で、これに勝って日本人選手3人目となる2団体統一王者という勲章を手にした。
一度は内定した2人の対戦。
対照的なキャリアを歩んだ両者の一戦には「THE FATE(運命)」というキャッチフレーズが冠せられた。
実はこの2人、田口がWBAライト・フライ級王者、田中がWBO同級王者だった'17年、田中が盛んに対戦をアピールし、一度は年末に統一戦の実現が内定したのだ。
ところが田中が同年9月の防衛戦で眼窩底骨折をしてしまい、復帰後にフライ級に上げて試合は消滅。自責の念にさいなまれた田中はオフにわざわざ東京に出かけ、田口に詫びを入れている。