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武豊とルメール、尊敬しあう間柄。
「ユタカさんはずっと憧れの先輩」
posted2019/03/01 08:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
2月17日に行われたフェブラリーS(GI)。今年、最初のJRAのGIレースを制したのは武豊騎手だった。この週を終え、勝利数は24でトップ。2位が昨年のリーディングジョッキーであるクリストフ・ルメール騎手で21勝だった。
その翌週、2月23、24日にルメール騎手は5勝の固め打ち。勝利数を26として武豊騎手を逆転。トップに立った。一方、この週の武豊騎手は土曜日の1レースを勝利して25勝としたがその後はなかなか勝てず。しかし、日曜日の最終12レースを優勝し、26勝目。先に26勝目を挙げていたルメール騎手に追いついてみせた。
これで2月までのJRAの開催は全て終了し、2着の差でルメール騎手が僅かにリーディングのトップという事になった。
2人が交わした面白い会話。
昨年の暮れ、2人の間で面白い会話が交わされた時、私は偶然、その場に居合わせた。
12月16日の話だ。この日の阪神競馬場、最終レースの妙見山特別でルメール騎手が騎乗したのは1番人気のイシュトヴァーン。同じレースで武豊騎手は2番人気のメイショウサチシオに乗っていた。
ゴール前200mで、先に先頭に躍り出たのは武豊騎手のメイショウサチシオ。しかし、次の瞬間、ルメール騎手のイシュトヴァーンが外から並びかけにくる。そしてそのままあっさりかわすと、人気に応え、先頭でゴールを駆け抜けてみせた。
面白いシーンに遭遇したのはこのレースの後の事だ。顔についたダートを洗面所で落とした2人はこう言葉を交わした。
先に武豊騎手が「あと何勝?」と問うと、ルメール騎手が「7勝です」と答えた。
イシュトヴァーンでの勝利がルメール騎手にとって2018年の205勝目。武豊騎手の持つJRA年間最多勝記録まであと7つに迫る勝ち鞍だったのだ。