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<19年ぶりの日本出身横綱誕生>稀勢の里「熱狂の春をもう一度――」
text by
田井弘幸Hiroyuki Tai
photograph byHideki Sugiyama
posted2017/12/28 10:30
綱を取り、怪我を抱えての連続優勝を果たした春。
その後輝きを取り戻すことはできなかったが、完全復活を期す横綱はこの冬、静かに牙を研ぐ。
日本の相撲を救えるのは、彼しかいない。
その後輝きを取り戻すことはできなかったが、完全復活を期す横綱はこの冬、静かに牙を研ぐ。
日本の相撲を救えるのは、彼しかいない。
太ももにまで届こうかという大きなポリバケツを2個置き、稽古場の上がり座敷に腰掛けた稀勢の里は左右の足をそろりそろりと下ろした。7分目にまで浸された水の中には、無数の氷がびっしりと詰まっている。「うぉぉ……」という呻き声と同時に左右の足を膝付近まで差し入れると、今度はすかさず塩をバラバラとまいた。「塩を入れないとね。0度以下にならないから」。見ているこちらが凍り付きそうになるほどだ。4場所連続休場中と手負いの横綱は「もう一度、自分の体を見つめ直したいと思う。体全体の血流を良くするためには、下半身を強く冷やさなければいけないから」と、顔をしかめながらも涼しげな口調で話す。聞けば途中休場に追い込まれた11月場所終盤からずっと取り入れており、連日約20分間にも及ぶという。