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<3つの名勝負で振り返る>
日本ダービー激闘録。~1990年アイネスフウジン編~
text by
江面弘也Koya Ezura
photograph byNaoya Sanuki
posted2016/05/27 06:00
この日の東京競馬場の入場者数は現在も更新されていない。このレース以降、GI勝利騎手にコールをする文化が生まれた。
手に汗握り、度肝を抜かれ、感情をあらわに叫んだあのレース――。1年に1度の祭典の魅力が詰まった3大勝負を紹介しよう。
【1990 アイネスフウジン】19万人の「ナカノコール」。
話題は“レース後”でも、'90年ほど印象的だったダービーはない。優勝したアイネスフウジンが引き揚げてくるときに中野栄治騎手を称える大コールがおきたダービーである。
ときはバブル経済の只中。オグリキャップという異能のスターホースの活躍もあって空前の競馬ブームがおきていた。その象徴となったのがこの年のダービーで、入場者は史上最多の19万6517人を数えている。1階スタンドはうごめく群衆で波が起きていた。