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若手中心のアジア選手権は選手層底上げのチャンス。~ラグビー界で進む世代交代の足音~
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byNobuhiko Otomo
posted2016/05/20 08:00
山田にとって6歳下の児玉は、鞘ヶ谷ラグビースクール、小倉高校からの「直系」の後輩。
これが日本代表なの? と当惑したファンもいたかもしれない。4月30日、三ツ沢で行われたアジア選手権初戦の韓国戦。85-0で圧勝した日本代表に、昨秋、南アフリカを破るなど3勝をあげたW杯の代表は1人もいなかった。
あれでキャップをもらえるの?
そんな囁きも聞かれた。ラグビーで最高の栄誉とされるのが、国と国の代表同士による正式テストマッチに出場した選手に与えられる「キャップ」だ。この日は「初キャップ」が先発で11人、途中出場で6人と、一度に17人も誕生した。
「僕、初キャップまで何年かかりましたっけ」と苦笑したのはサンウルブズのエース山田章仁だ。'04年に慶大1年で衝撃的な全国区デビューを飾り、'06年にはアジア競技大会7人制金メダルの立役者となったが、15人制の代表定着はままならず。'12年のエディー・ジャパン発足後も中軸の廣瀬俊朗主将と小野澤宏時、若手の藤田慶和と福岡堅樹に阻まれ続け、初キャップは途中出場した'13年11月のロシア戦。かつて奇抜な髪形やアメフト挑戦で話題を集めた若武者は28歳になっていた。