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「白鵬杯」で感じた希望と危惧。
相撲界がこれからも繁栄するために。
posted2019/02/24 11:30
text by
西尾克洋Katsuhiro Nishio
photograph by
Kyodo News
大相撲トーナメントの翌日、国技館は本場所でもないのに熱気に包まれていた。
土俵に上がるのは関取ではないが、多くの関取たちをマス席で観ることができた。トイレに向かおうと通路を歩いていると有名力士にすれ違うし、既に相撲界から去った往年の名力士の顔もちらほら見えた。
琴光喜や市原、春日王といった不祥事で土俵を去った面々も、指導者として相撲の聖地に帰ってきていた。
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この日行われた「白鵬杯」は、多くの相撲関係者によって作られた小中学生のための相撲大会である。
9回目を迎える今大会の参加者は、8カ国約1200人という。2014年大会が570人であることを考えると、大会規模は当時の倍だ。
朝9時に開始し、分刻みでスケジュールが組まれている。国技館内に3面の土俵が用意されるが、それだけではない。1200人もの個人戦と団体戦を完遂するために、相撲教習所内の2面の土俵も活用される。閉会式が終わったのは19時半のことだった。
遠方からくる子供への補助まである。
大会の最大の特長は、誰でも参加可能ということだ。相撲の聖地で、白鵬や有名力士が見守る中、相撲を取る。これがどれだけ夢のあることか。
しかも驚くべきことに、この大会には宿泊費などの補助金がある。少年力士たちが今後も相撲を続け、相撲を愛し、競技を離れても相撲を見続けてほしい。そういう想いを実現するために費用負担まで大会側が行う。別の競技に目を向けても、類似したシステムを取る少年大会は数少ないだろう。
会場設営や競技の進行には多くのアルバイトスタッフが関わり、他会場の取組映像も館外のテントからオンタイムで視聴できる。国技館に足を運べない方のために、YouTubeによる動画配信も行った。
国技館内は本場所中と同様、売店も利用可能だ。お土産を購入することもできる。また、取組を終えた子供たちを飽きさせないように、エントランスではスーパーボールすくいや横綱のパネルも設置されており、また有名菓子店によるおやつの配布も行われた。現役力士たちはそこここでサインや写真撮影に応じている。