魁皇の大相撲ボヤキ解説BACK NUMBER
両横綱不調で波乱の名古屋場所…”最近の横綱昇進条件が甘い”と言われるが、元大関・魁皇は異論「逆なんですよ」
posted2026/08/01 11:05
大相撲名古屋場所2日目、藤ノ川(右)に突き落としで敗れた横綱・大の里
text by

浅香山博之Hiroyuki Asakayama
photograph by
JIJI PRESS
大関から関脇に番付を下げていた、休場明けの安青錦。名古屋場所では10勝を挙げて大関に復帰するどころか、優勝決定巴戦を制して3度目の優勝を果たしました。
後で師匠の安治川親方に聞いたのだけれど、3月の大阪場所で骨折した左足が完全に治り切っていないままに出場し、場所途中でさらに悪化していたらしいんですよ。師匠も途中休場させるのを考えたとのことだったけれど、「相撲は取れる」と判断した。こういうと皆さんびっくりするだろうけれど、まだ骨折の場合は、どうにかなるんですよ。痛みさえ我慢すれば、折れた骨はいずれくっつきますし、靭帯断裂などよりは、まだマシなんです。強行出場をしてあとあと後遺症が残るのではないか、と心配する方もいるかもしれませんが、私らの世界ではそこまで深く考えていないんですよ。土俵に上がると痛みを忘れることもあったりするんです。
2024年の3月大阪場所で、新入幕の尊富士が脚をケガしながらも出場し、優勝しましたよね。この時に無理してしまい、その後、ケガをひきずってしまっていたような感もありますが、今回の安青錦の場合、相撲を取れない状況だったら、もちろん休んだでしょう。でも、相撲は取れるし、そのうえ勝てていたわけで、休む理由がない。最後の最後まで集中力がすごく、まさに「執念」ですよ。
「もったいない!」
ADVERTISEMENT
千秋楽の本割では、今場所勢いのあった熱海富士に一気に押し出されて負けてしまいましたが、決定戦では左前まわしをしっかり取って寄り切った。今場所の熱海富士は元気があって、彼のほうが有利ではないかと見ていたんだけれど、その熱海富士を上回る集中力でした。
関脇の熱海富士は優勝決定戦も3度目。また優勝を逃してしまいました。千秋楽の対安青錦戦の本割では、相手に動かれる前に自分から攻めていけたんだけど、決定戦では逆に動きを止められ、攻められてしまった。安青錦に中に入られて食いつかれ、崩されてしまいました。もったいない! でも今場所の熱海富士は立ち合いの圧力もあったし前に出る力が増していましたね。それでも、土俵際で回り込まれたりして攻めきれない、勝ちきれないところがある。もっと相手の動きに付いていき、体を寄せていけばいいんです。
もちろん、相撲は少しずつ良くなって来てはいますし、この悔しい経験を糧に、もっと力を付けてさらに上の番付を目指してほしいものです。
数字だけ見ての昇進なら「もっと簡単」
もうひとり、優勝決定巴戦に挑んだ大関霧島。今まで対戦成績で0勝10敗だった横綱大の里に勝ったとはいえ、今場所の大の里は不調でしたからね……。


