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ヒール横綱の元付け人たちが語る、
朝青龍は“気のいいあんちゃん”。
posted2019/02/18 08:00
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
Kyodo News
朝青龍はいま酒を飲んでいない。
禁酒を始めてもう5年以上が経つ。「50歳まで酒は止める。50歳までに狙うところを狙う」。現役時代の反省を生かせずにモンゴルでも酒席でトラブルに巻き込まれたのをきっかけとして、人生を目いっぱい生き抜こうと心に決めたようだ。
現在38歳。50歳になってから栓を開けるために自宅に世界中の酒をずらりコレクションしながら、いまはビジネスの道に邁進している。
引退後は母国で実業家として成功を収め、不動産事業などに加えて最近ではモンゴルで栽培したそばを日本に輸出するビジネスに力を入れている。ちょっと変わったところでは中国の巨大IT企業アリババの創業者、ジャック・マーとも同氏の映画で共演するなど関係を築いている。
横綱になったらダイヤモンドください。
有言実行の性格は角界入りした時からだった。明徳義塾高から高砂部屋に入門し「5年で横綱になる」と宣言した。「もし横綱になったら」と部屋のタニマチとは巨大なダイヤモンドをもらう約束を交わした。
強烈な向上心と勝負根性、そして火を噴くような猛稽古を実らせての超スピード出世。ダイヤモンドと第68代横綱の座をつかみ取るのに5年どころか4年もあれば十分だった。
最高位に上り詰めてからは土俵内外でトラブルが絶えず、品格を問われて批判を受けることも多かった。今回の稀勢の里の引退劇は多くの人に横綱の在り方を考えさせる契機となったが、朝青龍もさまざまな形でその価値観を揺さぶった1人だった。
そんな彼と四六時中一緒に過ごした付け人はさぞや大変だったに違いない。だが、Number972号の取材で会った当時の付け人たちは「ファミリーみたいに扱ってもらって自分らは楽しい思い出しかない」と一様に言っていた。