フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
フェルナンデス欧州7連覇で競技引退。
フィギュア界に刻んだスペインの栄光。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2019/01/29 11:00
欧州選手権7連覇を達成したハビエル・フェルナンデス。母国スペインにフィギュアスケート文化を根付かせた功績も大きい。
欧州選手権は、まずSPで3位に。
SPは、2015年から2シーズン滑った『マラゲーニャ』に戻してきた。
パコ・デ・ルシアとプラシド・ドミンゴによる演奏で、振付はスペイン国立バレエ団の芸術監督、著名なフラメンコダンサーのアントニオ・ナハーロによる。
「スペイン出身の3人の偉大な芸術家を集結させた作品。スペイン代表の自分が、下手なフラメンコを見せるわけにはいかないので、責任を感じます」と、このプログラムについて語っていた。
2年ぶりに披露した『マラゲーニャ』は切れ味が良い中に柔らかさがあり、ナハーロの動きによく似ていた。だがきれいに着氷したかのように見えた4サルコウが回転不足の判定を受け、3アクセルでステップアウト。91.84という得点が出ると、ちょっと顔をしかめてみせた。
ロシアのミハイル・コリアダ、アレクサンドル・サマリンに続いて3位という位置についた。
「良いプログラムが滑れたと思います。ジャッジはそう思わなかったようだけど、ジャンプは良かったです」とSP後の会見でちょっと判定への不満を表し、トップのコリアダとは9ポイント近い点差がついていたが、「フリーでは9ポイントなんて、なんてことないです」と強気を見せた。
スペインがテーマの2つのプログラム。
フリーは、平昌オリンピックで滑った『ラ・マンチャの男』。ドン・キホーテを主人公にしたこのプログラムは、デイビッド・ウィルソンがスペインまで行って、グラナダのリンクで振付けたのだという。
スペイン出身のフィギュアスケーターとして初めて欧州、世界、そしてオリンピックの表彰台に上がってきたフェルナンデス。どの選手にも増して、自分が国を代表しているのだという責任感があったのに違いない。最後を締めくくるのに、SP、フリーともにスペインの文化をテーマにしたプログラムを選択したことは、驚きではなかった。
いよいよ彼の出番となると、ミンスクの会場は歓声に包まれ、多くのスペインの国旗で埋め尽くされた。