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シャケトラと角居調教師、石橋脩。
それぞれ逆境を乗り越えた復活劇。
posted2019/01/25 07:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
1月20日。中京競馬場で行われた第36回東海S(GII)を1番人気に推されたインティが優勝。手綱をとった武豊騎手は前人未踏のJRA33年連続重賞制覇という偉業を成し遂げてみせた。
その約20分後、場所を中山競馬場に移して、また別の記録が達成された。
ここで行われたのは第60回となるアメリカジョッキークラブC(GII)。
11頭立てで7番人気という低評価を覆して優勝したのは、6歳牡馬のシャケトラ。管理する角居勝彦調教師はこの勝利が現役最多となる16年連続JRA重賞勝利となったが、そんな記録以上に、多くの人の様々な想いが重なっての優勝劇となった。
衝撃が走ったのは昨年の7月のことだった。角居勝彦調教師が道交法違反を犯したというニュースは、たちまち競馬サークル内を駆け抜けた。
角居調教師は国内外で数々の実績を残したばかりでなく、彼を知る人皆が認めるほどの人格者。それだけに第一報に耳を疑った人がほとんどだったはずだ。
しかし、これが事実と分かるとJRAから6カ月の調教停止処分を受けた。
処分が明けたのは1月7日。
その処分が明けて現場に復帰出来たのはこの1月7日のことだった。
今年の開幕週となった1月5、6日の両日には、本来、角居厩舎の馬が、一時的な転厩先で3勝を挙げたが、復帰して最初の週となった12~14日は、6頭の管理馬を送り込むも未勝利。この週も19日の土曜日には中山と京都で各1頭、そして20日もアメリカジョッキークラブCの前に京都で2頭を出走させていたが、いずれも先頭でゴールを切ることは出来なかった。
そんな状況下で迎えたのがアメリカジョッキークラブC。
出走するシャケトラは前述した通り7番人気。単勝38.5倍というダークホースだった。