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菊池雄星を変えた炭谷銀仁朗の言葉。
「奪三振王と最多勝、どっち?」
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byKyodo News
posted2019/01/10 08:00
西武でバッテリーを組んだ2人だが、来季から菊池はMLBのシアトル・マリナーズへ、炭谷は巨人でプレーする。
苦しんだ時期こそが糧になっている。
「1試合の中にはターニングポイントが1度か2度、ありますよね。先制してもらったあととか、味方にファインプレーが出たあととか……。そういうときに『絶対に抑えるんだ』と力を振り絞ることができるようになりました」(菊池)
武器である速球はそのままで、試合の中の『ここぞ』という勝負所に集中し、勝機を手繰り寄せる“コツ”のようなものを身に着けた。
メジャー行きが決まった直後でも、思い返すのは「ライオンズで苦しんだ日々」だと菊池は語る。
「9年間、決して順調にステップアップしてきたわけではありません。最後の最後に優勝できたことはいい思い出ですが、勝った喜びより、結果が出なかったときに、もがきながら練習をしたこと。ケガしているときに周囲の人と励まし合いながらリハビリをしたこと。苦しんだ時期、もがいた時期のほうが不思議と強く心に残っています。いろいろなことがあったなぁ、と……。今となってはいい思い出ですが」
順風満帆ではなかったと振り返る9年間が、決して回り道でなかったことを自らの活躍で証明してほしい。
「もちろん1年目から勝負ですし、今までの実績や経験は関係なくて、とにかく0からのスタートになります。アピールしなければいけない立場なので、開幕からローテーションに入れるよう、とにかく必死でアピールします。1年間通して日本の皆さんに僕のピッチングを見ていただけるように、ケガをしないでがんばりたいです」
メジャーに憧れ続け、夢の舞台に挑戦する左腕の活躍を楽しみにしたい。