年齢とともに深みが増してくる。

　逆に若い頃の勢いや思い切りの良さ、爆発力というのは今の私では敵わない部分。チームメイトの若い子たちを見て、私もあんな感じだったなと重ねる部分もありつつ、多少の羨ましさも感じています。

　一方で年齢を重ねた選手にしか出せない味というのもあります。私も若い頃に先輩を見て「すごいな、私もああいう風に考えられたら、いい行動ができるようになるのかな」って憧れていました。

　自分の姿を見せてやっていく部分、ベテランだからこそ我慢してやらなきゃいけない部分、ベテランだからこそ優遇される部分。そのバランスを自分で見つけて、そのときどきの状況で動いていく。

　昔とは求められる役割も変わってきているので、難しさを感じることもありますが、年齢とともに学び、成長をしていけば、必ず深みが増してくると思っています。だから、いつ何がきてもいいように準備だけは怠らないようにしています。

多くの方の記憶に残る選手になりたい。

　若い頃は自己評価が低くて、人と比べたり、私はすぐ怪我をするとか、ダメな部分にばかり目が向いていたこともありました。だけど、自分を信じてあげることがすごく大事で、自分にしかできないことを見つけて、思い描いたことを実現するためには今何をしたらいいかと考える。それが自分の成長の強みになるのだと思っています。

　そのためには自分をブレさせないこと。周りの環境やその時々の考えに左右されがちなのですが、自分はこうでありたい、こういう選手でいたい、こんな風に身を引いて、こんな風に生きていきたいという、ちゃんとした軸が自分の中にあれば、どんな道を選んでも自分らしい筋が通った人になれるのではないかと考えています。

　これまでさまざまな機会で注目していただきましたが、“あぁ、そんな選手いたな”っていずれは必ず忘れ去られてしまう部分があると思います。それでも一人でも多くの方の記憶に残る選手になりたい。応援してくださる方々にはプレーで感謝を示すことが一番だと思っているので、やるべきことはまだまだたくさんあります。ここからの短い時間のなかで、見てくださった方へ何かが伝わればすごく嬉しいですね。