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今のジェッツはなぜ競り勝てるか。
天皇杯3連覇に「シェア」で挑む。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2019/01/04 07:00
12月16日のアルバルク東京戦で15得点、5アシストをあげた富樫勇樹。チームも好調を維持している。
スタイルの成熟には時間がかかる。
実は、激戦のBリーグ東地区で首位となりCSファイナルに進んだ昨シーズン、試合後に大野HCが何度も口にした反省の弁があった。
「どうしても、個人の力で解決しようとしすぎていたところがありました」
それぞれの選手が自分の強みを出すのはジェッツの良さでもあるし、昨シーズンの天皇杯では司令塔の富樫勇樹を怪我で欠きながら、代わって先発出場した西村文男が天皇杯のベストファイブに選ばれたこともあるように、能力のある選手は多い。
そんなチームを率いるにあたって、大野HCは頭ごなしに厳しく指導するというよりも、大切なことを繰り返し選手に問いかけながら、彼らの成長を待っている側面もあった。
「大野さんになってから、確率の高いシュートをみんなで探して狙うというのは、それぞれにやってきました。ただこの体制になってから1年目、2年目と積み重ねがあってこその今シーズン。それが少しずつ、花開いてきた部分があるのかなと思います」
そんな石井の言葉通り、Bリーグ初年度から継続して取り組んできたことが実を結びつつある。
競り負けてきたアルバルクに。
彼らの進化を物語っていたのは、12月の王者アルバルク東京との対戦だった。
昨シーズンのアルバルクとの対戦成績は、ジェッツの2勝5敗と分が悪かった。ジェッツが挙げた2勝は、試合序盤からハイペースで得点を重ねて一気に試合を決めたもの。逆に接戦にもつれ込むと、アルバルクが優位に立った。
12月15、16日の2連戦、初戦は72-76で敗戦。続く2戦目は序盤にリードしたのち、何度も追い上げられる展開となりながら逆転を許さず、76-71でジェッツが接戦をものにした。昨シーズンはできなかった展開で勝利を手にしたあと、指揮官はこう切り出した。
「昨シーズンだと(追い上げられ、逆転を許し)10点くらいビハインドをくらって、最後に持ち直して、少し良いゲームのようになって終わりというところでした。逆転されなかったところが成長かなと思っています」
そして、昨シーズンからの上積みについて、こう分析した。
「誰かに頼るのではなくて、しっかりボールを動かす。インサイドに入れるのか、コートを広く使うのかについて全員が共通理解をもって、フロアバランスを保てたところは良かったです。それは、選手たちのメンタルが成長したからだと思います。昨シーズンの反省をしっかり活かせたのかなと思います」