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中日復活の鍵はリリーフの整備。
最大の新戦力は与田監督ら首脳陣か。 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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photograph byKyodo News

posted2018/12/30 11:30

中日復活の鍵はリリーフの整備。最大の新戦力は与田監督ら首脳陣か。<Number Web> photograph by Kyodo News

与田新監督は、2000年に現役引退後、解説者を務める傍ら、社会人野球、女子野球、WBC日本代表、楽天でコーチを務めた。

松坂らは存在感を示したが。

 そんな弱体投手陣をさらに細分化すると、先発投手は47勝53敗、防御率4.08。平均投球回5.96、同投球数が101.24となっているから、及第点とはいえないまでも懸命に踏ん張ろうとしている努力は伝わってくる。問題は継投にある。リリーフ投手は16勝25敗。防御率4.93は12球団でワーストだ。38度を数えた逆転負けも、最も多い。

 今季を象徴する逆転負けを喫したのが9月4日のヤクルト戦(神宮)だ。9-3で9回までこぎ着けながら、登板した田島慎二が炎上。あわてて祖父江大輔、岩瀬仁紀、福谷浩司をつぎ込んだが止められなかった。まさかの同点。延長戦にもつれ込み、最後は又吉克樹がサヨナラ3ランを浴びた。

 開幕前に描いた青写真通りに行かなかったのは間違いないが、故障にせよ不振にせよそれはどのチームでもよくあることだ。投手出身で黄金期も参謀役として強力投手陣を作り上げた森繁和前監督なのに、有効な配置転換を打ち出せぬまま閉幕した。

 松坂大輔(6勝)、吉見一起(5勝)、山井大介(3勝)らベテラン投手陣がフル回転とはいかないまでも存在感を発揮した。あおりを受けて先発機会を奪われた若手、中堅の中に、リリーフの適性がある投手はいなかったのか。期待を裏切った選手の責任を問うのは簡単だが、もっと試せたことはあったはずだ。

 投手を中心とした守備力で勝ってきたチームなのだから、森監督以下、指導者がごっそり入れ替わることになったのも当然である。

ガルシアの穴はロメロが。

 ここからは2019年シーズンへの展望に移る。悲願のAクラス奪回には不可欠の投手力強化であるが、唯一の規定投球回数クリアであり、チーム最多の13勝を挙げたオネルキ・ガルシアが、契約延長交渉がまとまらず、退団した。しかも同一リーグの阪神に流出したのは大きな痛手となった。

 代わって獲得したのが同じ左腕のエンニー・ロメロだ。中日得意のドミニカンルートであり、今オフのウインターリーグでは11試合(先発は10試合)に登板し、2勝1敗、防御率1.33と非常に期待のもてる成績を残した。54イニングを投げて被安打32、15四死球、54奪三振。マイナーリーグ中心の米国球界ではリリーフが主だったが、先発にも適性があることを証明してくれた。

 ただし、ガルシアのマイナスがあることを考えれば、いわばロメロは「やって当たり前」。ゲレーロの穴をアルモンテが埋めた例はあるにせよ、不安の種は尽きない。

【次ページ】 一新された指導陣に期待。

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