草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
中日復活の鍵はリリーフの整備。
最大の新戦力は与田監督ら首脳陣か。
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byKyodo News
posted2018/12/30 11:30
与田新監督は、2000年に現役引退後、解説者を務める傍ら、社会人野球、女子野球、WBC日本代表、楽天でコーチを務めた。
一新された指導陣に期待。
FA戦線も静観を貫き、年内までの補強はドラフトとロメロにとどまった。すでに支配下選手は上限に近い68選手。ドラフトでは4球団が競合した根尾昂(大阪桐蔭)を引き当てたのは大きかったが、新人というのは全球団等しく加入する。中日のルーキーだけが1年目から活躍するわけではないので、やはり現有戦力の底上げが最大の「補強」となってしまう。
むしろ期待されるのは与田剛新監督以下、大幅に入れ替わったコーチングスタッフによる「人心一新」「心機一転」の効果か。岩瀬、荒木雅博、浅尾拓也という黄金期を支えた3人が引退した。今季は岩瀬が48試合、浅尾が10試合に登板し、荒木は84打席に立った。
つまり、厳密には戦力低下なのだが、それだけ若い選手へのチャンスが増えるともいえる。それを引き出すのが新体制の使命だ。
伊東ヘッド以外は未知数。
ただし、不安もある。与田監督のNPBでの指導歴は直近3年のみ。投手再建役に招いた阿波野秀幸コーチは計13年のコーチ歴があるが、一軍となると13年ぶりだ。それを補佐する赤堀元之コーチもここ2年はヤクルトの二軍。村上隆行打撃コーチは独立リーグのみで、NPBは初指導だ。
中村武志バッテリーコーチも昨年は韓国・起亜の二軍。残留した波留敏夫(打撃担当)、奈良原浩(内野守備・走塁担当)と現役を引退し、外野守備・走塁コーチに就任した工藤隆人以外は、一、二軍ともに中日の選手の予備知識は皆無といっていい。
指導者としての実績は伊東勤ヘッドコーチが飛び抜けており、それ以外はよくいえば未知数。悪くいえば……。もっとも選手への先入観はない方がいいというケースもある。まっさらな状態で選手の動きを見定めてこそ、休眠戦力を発掘できる。体制の変わり目はチーム内の戦力分布図も大きく書き換わる。
逆にいえば二軍でくすぶっていた選手が一軍の選手に取って代わるくらいでなければ、長期低迷には歯止めをかけられないだろう。