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菊池雄星の渡米とS・ボラスの思惑。
解体中のマリナーズが最有力候補。
posted2018/12/22 11:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Kyodo News
菊池雄星が渡米し、代理人のスコット・ボラスがウィンター・ミーティングの会場に姿を現したことで、アメリカのメディアがなにかと騒がしい。
といっても、ボラスに注目が集まったのは、彼が今季FAの目玉ブライス・ハーパーの代理人をつとめていることが最大の理由だ。
ハーパーの行く先はまだ決まっていない。以前にも述べたとおり、フィリーズ有力説に変化はないが、彼以外の目玉とされるマニー・マチャドやA・J・ポロックの行く先次第では、どう転ぶかわからない。
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アメリカのメディアを眺めていると、菊池に関しては、ボラスはゆったり構えているようだ。といっても、ポスティング諾否の期限は来年1月2日なので、それまでにどこかの球団と契約を結ぶか、日本に帰国してくるかが決まる。現段階で、帰国の線はまず考えられないから、クリスマス休暇明けには契約球団の名が報じられるのではないか。
マリナーズは菊池をどう評価?
いまのところ最有力と目されているのは、マリナーズだ。ただ、マリナーズはファイアセールの断行で、チーム解体→再建の道を歩みはじめたばかりだ。いいかえれば、ヴェテランに大金を払うのをやめて、若手をじっくり育てようという腹積もりを固めているはずなのだが、菊池を「発展途上の若手」と見なす眼があるのかどうか。
ジーン・セグラの見返りとして獲得されたカルロス・サンタナ(元フィリーズ)は、エドウィン・エンカーナシオン(元インディアンス)とのトレードで、早くもチーム外へ去った。エンカーナシオンは、過去4年連続で30本塁打/100打点以上を記録している強打者だが、35歳という年齢を考えると、長い活躍は期待できない。
来季以降のマリナーズは、投の主力にマルコ・ゴンザレス(26歳。今季13勝9敗)、打の主力にミッチ・ハニガー(27歳。今季2割8分5厘)を考えているにちがいない。