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10万人の熱狂に包まれたジャパンカップで、
ロンジンが刻んだアーモンドアイの「偉業」。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2018/12/07 11:00

10万人の熱狂に包まれたジャパンカップで、ロンジンが刻んだアーモンドアイの「偉業」。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

デジタルウオッチに「2:20.6」。

 キセキが3馬身ほどのリードを保ったまま3、4コーナーを回った。

 アーモンドアイは、ルメールが手綱を抑えたまま、余裕たっぷりの手応えで直線に向き、キセキの直後につけた。

 ゴールまでラスト400mを切っても、ルメールはまだゴーサインを出さない。

 ラスト300m地点でようやくルメールの手が動いた。外に持ち出されたアーモンドアイは、鞍上の左ステッキを合図にラストスパートをかけた。

 アーモンドアイが鋭く伸びる。ラスト200m地点で内のキセキを並ぶ間もなくかわし、先頭でゴールを駆け抜けた。

 勝ち時計は、従来の記録を1.5秒も短縮する2分20秒6のJRAレコード。300年以上にわたって血をつながれてきた世界のサラブレッドが、チャンピオンディスタンスで初めて2分20秒台に突入した。その記念すべき世界レコードが、ロンジン社製のデジタルウオッチにしっかりと刻まれた。

 ロンジンは、1世紀以上にわたって、競馬や乗馬など、馬を使ったスポーツとパートナーシップを結んできた。1878年、ロンジンは騎手と馬が刻印された懐中クロノグラフを製造した。それが1881年にアメリカの競馬場で使用され、成績を秒単位で正確に計測することを可能にした。

 また、1912年からは障害飛越イベントのパートナーをつとめるなど、競馬のフラットレースのみならず、エンデュランス競技、その他のイベントなど、多岐にわたってサポートをつづけている。

【次ページ】 競馬とロンジンと「エレガンス」。

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