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なぜリスグラシューは差し切れたか。
エリザベス女王杯を決した「魔法」。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2018/11/12 11:30
岩田康誠のクロコスミアが逃げ切るかと見えた展開を、モレイラとリスグラシューが一撃でひっくり返した。
何があったか、馬に訊いてみたい。
リスグラシューは、ほかのすべての出走馬とは別の流れのなかでレースをした。かつて、ディープインパクトは、どんなペースでもまとめて差し切ったし、サイレンススズカは、他馬が追跡不能な速さで走るなど、「流れ不問」の強さを見せた。
モレイラの力を借りて、リスグラシューはそういうレースをした。もちろん、過去の戦績が示しているように、リスグラシューはいつGIを勝っても不思議ではない実力を持っていた。だとしても、この日はやはり、プラスアルファの力を発揮したのではないか。
これほど「何があったのか、馬に訊いてみたい」と思ったレースは久しぶりだ。
なお、この日の第9レースで、モレイラはJRA通算100勝をマークした。そして、エリザベス女王杯がこの日の5勝目。第1レースから第11レースのエリザベス女王杯まですべて外国人ジョッキーが勝っていたが、最終レースで藤岡佑介が意地を見せた。