濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
ルール未定のメイウェザー狂騒曲。
那須川天心と大晦日RIZINで対戦!
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2018/11/07 17:00
あのメイウェザーが日本のリングに立つことだけでも驚きなのに、対戦相手は那須川天心である。
「ボクシング」とは謳えない。
またパンチだけのルールになったとしても、「ボクシングルール」「ボクシングマッチ」とは謳えないというのがRIZINの見解だ。
コミッションの許可がない試合であり「たとえばバックブローをありにしたらどうなるか。那須川がボクシングシューズを履くのも考えにくい。その時点でボクシングルールではないわけです」(榊原)。
まずは「実現ありき」であって、それがどの競技カテゴリに属するのかを重視しないのがRIZINというイベントだ。だから安心ができない。それも含めて主催者の狙いではあるのだろう。
ファンの見方もさまざまだ。那須川がメイウェザーにパンチ勝負を挑むことにロマンを感じる者もいるし、それでは差がありすぎて興ざめだと感じる者も。むしろメイウェザーをローキックで蹴り潰すことこそ“他流試合”の醍醐味だという見方もできる。
10kgほど体重差があっても。
いやそもそも、10kgほども体重が違う他ジャンルの選手がいきなりメイウェザーと闘えてしまうこと自体がおかしいという人もいるだろう。それがスポーツとしての真っ当な考え方だ。
榊原氏はグローブハンデ戦も考えているそうだが、10kg重い選手のパンチを頭部に食らった場合のダメージをどう判断するのかという問題もある。70kg対60kgは、120kg対110kgとは1kgの重みが違う。
だがそれでも、だ。メイウェザー対那須川が見たいか見たくないかと聞かれたら、それは見たいのである。世界5階級王者にパンチだけの勝負を挑めば不利に違いないが「飛び飛び飛び飛び飛び飛び級くらい」の一戦に向けて「拳ひとつで世界を変えてみせる」と意気込む若者に頼もしさを感じないわけがない。