大黒柱に甘んじることなく。

　もちろん、田口が移籍を決断したのには様々な理由がある。その1つは、チームの顔という立ち位置からの脱却。誰からもチームの大黒柱と認められ、その地位は揺るぎないものになっていた。

　それは、失礼ながら秋田に日本代表クラスの選手がおらず、田口の地位をおびやかす者がいなかったという現実も示している。

　自らの身を厳しい競争の中に投じることで選手としてさらにステップアップしたいという意思が田口を突き動かし、千葉への移籍につながったのだ。つまり、今の状況は田口自身が望んだ状況でもあるといえる。

「自分が成長するために、覚悟を持ってここ（千葉）に来ました。先週の土曜日（三遠戦1戦目）に挫折を味わって、その悔しさからどうメンタルを切り替えるか、自分の立ち位置はどこにあるのかをしっかり確認した上で次の試合に臨むことができたので、少しずつ成長はできていると思います。

　これを継続して、自分に何が必要なのかということを考えていきたい。評価してもらえればおのずとスタートで出られると思いますが、まだ自分はそのレベルに達していない部分があるので、まずはシックスマンで出ても出場時間を確保できるように信頼を勝ち取っていきたいと思います」

石井からのプレーに学んで。

　田口にとって、チーム内で当面のライバルとなるのは、当然ながら同じポジションの石井。生え抜きとして長く千葉でプレーしている分、チームメイトとのコンビネーションに関してはやはり石井に一日の長があり、その点は田口も十分に理解している。

「練習や試合で石井さんの動きを見ていて、ここでこう動けばいいのか、こういうふうに解決できているんだなということを感じることが多いです。

　同じポジションにああいう素晴らしいシューターがいるので、石井さんが何を心がけてプレーしているのかを学んで、自分に活かせるものは活かしていけたらと思いますし、お互いに切磋琢磨することでチームとしても成長できると思います」

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