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「ぶっちゃけ僕は弱い人間」だが。
内川聖一が大舞台にやたら強い理由。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2018/10/12 07:00
内川聖一と言えば勝負所での一打が印象的だ。今年のCSでもその打棒を見せつけられるか。
他人が感じないところを感じて。
「打てば天国だし、打たなきゃ地獄。そこを自分で認めることだと思っています。打てなかったら俺が責任をとるしかない。そうするしかない。ヒトのせいにはしたくないし、ヒトのせいには当然できない。それを自分の中で悔しいのも認めないといけない。いろんな感情や思いが当然ある。
僕、ぶっちゃけ自分では凄く弱い人間だと思っている。すぐ文句言うし、なんで俺ってこんな感じなんだろうなと思うことの方が多い。もうちょっと我慢できるところ我慢すればいいのになとか、言わなくてもいいのにとか。でも、それが内川聖一という人間だと思っている。他人が感じないことを感じられるから、成績も残してきたと思うようにもなりました」
と、ここまで書き連ねたのは、今年のシーズン前に内川にロングインタビューを行なった際に書ききれなかった話の一部を抜粋したものだ。いまは、こんな饒舌に話せる精神状態ではとてもないだろう。とても繊細な心の持ち主だ。今年、2000本安打の達成に苦しんだ姿を見れば想像がつくはずだ。
2割4分2厘は事実上のワーストも。
今シーズンはとても苦しんだ。打率2割4分2厘は、ルーキーだった'01年の2打数0安打を除けばプロワーストの数字だ。出場は71試合。金字塔達成後の5月中旬から約1カ月間戦列を離れ、さらに8月16日には疲労性の体調不良により再び離脱。そのまま一軍に戻ることなくレギュラーシーズンを終えた。
9月中旬に二軍戦に復帰したと思ったら、右肩痛でまた一歩後退してしまった。それでも、CSからの復帰を目指し、また再度前進を始めている。10月5日の二軍、三軍練習試合に出場して、攝津正からヒットを打った。一塁守備にも就いた。その後は宮崎に行き、若手と一緒にみやざきフェニックスリーグで調整を続けている。
今月13日から始まるクライマックス・シリーズ。今季2位のホークスは球団初の「下剋上」を目指して戦う。
そのキーマンに、内川聖一を推したい。