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オリの心優しき助っ人ディクソン。
「日本の人や文化が好きですから」

posted2018/09/20 08:00

 
オリの心優しき助っ人ディクソン。「日本の人や文化が好きですから」<Number Web> photograph by Kyodo News

7月17日の日本ハム戦では4年ぶりとなる完封勝利を挙げたディクソン。「本当にうれしい」と笑顔を見せていた。

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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 今年も2桁勝利はかなわなかった。来日6年目のブランドン・ディクソンである。

 来日1年目の2013年に8勝を挙げ、'14~16年は3年連続で9勝。昨年も8勝と、あと一歩で10勝に届かずにいた。

 今年は打線の援護に恵まれなかったこともあり、初勝利は10試合目、7月1日まで待たなければならなかった。それでも、7月17日には4年ぶりの完封勝利を挙げる。それは今季のオリックスの初完投であり、開幕からのチームの完投ゼロの試合数がプロ野球記録に並ぶのを阻止した。

 8月24日の千葉ロッテ戦では、風速15mを超える強風の中、ユニフォームが風でバタバタとはためくのもお構いなしに、淡々と投げ続けた。

「強風が吹いていても投げなければいけないことに変わりはないので、その中でできることに集中しました」と涼しい顔で振り返った。

得意のナックルカーブ以外にも。

 得意のナックルカーブが風で曲がりすぎてコントロールが難しく、一方でチェンジアップは風の影響を受けて効果的に曲がったため、そのチェンジアップを多投。味方守備陣が飛球の捕球に苦しむであろうことを考慮して、「フライを上げさせないように気をつけた」とゴロを打たせる投球で7回1失点に抑え、今季4勝目を挙げた。

 今年は昨年までに比べてナックルカーブの曲がりが小さくなったが、後半戦は、その分、チェンジアップなどをうまく使い、投球の幅を広げた。

 捕手の若月健矢は言う。

「前半戦はツーシームとナックルカーブの2つだけできつかったんですが、後半戦はチェンジアップやカットボールなどいろいろな球種を使えていて、その中で相手は、ナックルカーブがいつくるんだろう、いつくるんだろう、となっていると思う。その駆け引きができていますね」

 トラックマンのデータでは、今年はチェンジアップのリリースポイントが最も安定していたという。

 しかし残念ながらその後、ディクソンは右肩の炎症と診断され、9月に登録抹消となった。

【次ページ】 打線の援護に恵まれなくても。

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