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松山英樹が滑り込んだ歴史の転機。
プレーオフ改革で来季は賞金16億円!
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/09/20 10:30
プレーオフ開始時点では70位以下だったランキングを急上昇させて最終戦に生き残った松山英樹。ここまで来れば一発勝負だ。
ウッズとミケルソンが揃って登場。
これまで年間王者に2度(2007年と2009年)輝いたのは、ウッズただ1人である。元々、フェデックスカップもプレーオフ・シリーズも「ウッズのために作られたものだ」と揶揄されるほど、ウッズの活躍と成功は目覚ましかった。
そんなウッズでさえも、傷病、故障、私生活面などで何かが起これば、ゴルフは揺らぎ、成績は下降し、フェデックスカップからもプレーオフからも遠ざかった。
だがそのウッズが戦線復帰し、5年ぶりに戻ってきた今年のツアー選手権がポイント制で競われるラスト大会になったのは、もちろん偶然ではあるが、そこにウッズが居てくれて良かったと思える。
2009年のツアー選手権終了後の表彰式では、年間王者になったウッズと大会を制したミケルソンが2人並んで立っていたが、犬猿の仲と言われていた2人はお互い口も利かずに仏頂面。そんな当時の光景を思い出すと、ついついクスッと笑ってしまう。
来季からはツアー選手権優勝者が年間王者となるため、今後は2人の優勝者が表彰式に並ぶことはなくなるが、かつてそうやって並んだ2人がともに今年の大会に居てくれることも、良かったと思える。
松山は76位から順位をあげて滑り込み。
そして、松山英樹がぎりぎりセーフで滑り込み、5年連続でイーストレイクGCに立つことにも何か不思議な巡り合わせを感じずにはいられない。
松山は米ツアーメンバーとなった初年度の2014年のツアー選手権こそ、ぎりぎりの滑り込みだったが、2015年からは当たり前のように進出し、とりわけプレーオフをランク1位で迎えた昨年は年間王者や10ミリオン獲得もきわめて現実的だった。
だが不調だった今年はプレーオフを76位で迎え、はるか彼方に見えたトップ30だけのツアー選手権出場を「圏外から目指します」と謙虚に、しかし執拗に狙いを定めた。そして、その言葉通り、ランク27位で圏外から滑り込んだ。
5年連続、5回目の出場。途中が抜けないように一歩一歩、一段一段、すべての行程を踏みしめている松山は、その意味でも、米ツアーの歴史をしっかり着実に生きていると言っていい。