マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
甲子園からU18への移行の難しさ。
不出場組を呼ぶ手もあったのでは?
posted2018/09/12 07:00
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
U18球児たちの長い長い夏が終わった。
心から「お疲れさまでした」と、その健闘を称えたい。
7月の地方予選から甲子園大会、そして「U18」と続いたおよそ2カ月の長丁場。心身にストレスをかけ続けながら、プレーを継続させた彼らの健闘にはまったく頭が下がる。
U18はテレビでの観戦だったので、試合中の選手たちの表情の変化やちょっとしたしぐさが、むしろよく見えた。
韓国戦のダグアウト。甲子園のときのような、弾ける笑顔がない。
べつに笑ってなくてもよいのだが、これから“大一番”を迎えようとする者なら、もうちょっと表情に張りのようなものがあってもよいのでは……。むしろ、ひと試合終えた後のようなムードを、試合前のダグアウトから感じてしまった。
ちょっと待てよ……。ひと試合終えた後の……?
ああ、そうか。彼らは、確かに大一番を終えているんだ。「甲子園」という大一番を終えて、それから宮崎へやってきた選手たちがほとんどなのだ。
最大の目標を戦い終えた後の気持ちは?
今年の「U18」は明徳義塾・市川悠太投手以外の17選手が、この夏の甲子園組で編成されている。
それも、ほとんどがベスト8以上に勝ち進んだ選手たち。疲れてもいるだろうし、それ以上に、大一番を全うした達成感が、今のこの時期は“やれやれ感”に変質していてもおかしくない。それが「人間」というものだろう。
一度パンパンにふくらませた思いが、大舞台を終えていったんスッとしぼむ。そこからもう一度パンパンに戻すのは、やってみるとそうは簡単なことじゃない。そもそも、選手たちの最大の目標は「夏の甲子園」なのであって、この「U18」で活躍することを心の支えにして懸命に頑張ってきた選手というのは、ほんとのところ1人もいないのではないか。