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西武の強さはスタメンだけじゃない。
「いい仕事」の機会を待つ2人の男。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2018/09/06 11:00
中学時代には砲丸投げで有力選手だったほど身体能力には高いものがある斉藤彰吾。6月24日のロッテ戦ではプロ11年目で初の猛打賞を記録した。
がっつくのはプレー中だけで十分。
11年間のプロ野球人生で養われたのは、自分が今、何を求められているかを感じ取る力だ。
「他の選手とポジションを争う意識は正直なところ、あまりないんです。誰かを意識するよりは、まずは自分の持てる力をどう出せるかというのをいちばんに考えてきました。欲がないように見えるとよく言われますけど、その場その場に対応することを重視してきた結果ですかね」
試合前の練習では、グラウンドに突き出したフィールドビューシートのフェンスに登る練習もする。ネットにボールが当たる前に、いかにして捕球するか、準備と対策に明け暮れている。
「がっつきはしますけど、それはプレー中だけでいいかな、と。プレーをするまでの間は、その場に対応すること、対応するための準備が大事だと思っています」(斉藤)
求められる役割に、対応するための準備を怠らないことが大切だと語った。
熊代が一度も一軍に呼ばれなかった2017年。
一方の熊代は昨シーズン、2011年にプロ入りして以来初めて、一度も一軍に呼ばれることなくシーズンを終えた。今治西高時代はエース、社会人時代(日産自動車‐王子製紙)に内野手へ転向し、西武入団後は外野手登録となった。今でも内、外野を高いレベルで守れるユーティリティプレーヤーだ。
「昨年は、とにかく自分のスキルアップ、レベルアップをいちばんに考えてやってきました。そもそも好きな野球をやっているので、腐ることなんてないんですけど、一軍から声がかからないからといって、ふてくされることもなかったですね。とにかくいつ呼ばれてもいいように、自分の準備に時間を費やしていました」
一軍の登録や抹消の情報が一切、目に入らないくらい、自分の技術を高めることに集中したという。