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西武の強さはスタメンだけじゃない。
「いい仕事」の機会を待つ2人の男。
posted2018/09/06 11:00
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
NIKKAN SPORTS
強いチームには必ず、派手さはなくとも、「いい仕事」をする名バイプレーヤーがいる。今シーズンのライオンズで言えば、木村文紀や斉藤彰吾、熊代聖人といった選手が思い浮かぶだろう。
前半戦、堅実な守備でチームを支えた木村に加え、斉藤は今、強打が特色であるライオンズ打線の中で、一味違う渋い働きを見せている。熊代は一軍で活躍の場を待っているところだ。
斉藤はプロ入り11年目。今シーズンここまで50試合に出場し、2割7分3厘の打率を残している。何より3割超えの出塁率が、自分の役割を心得ていることを表している。
ユニホームのソックスを多く見せるオールドスタイルの着こなしからも見て取れるように、守備固めや代走での出場機会が多いが、あとになって振り返ると「あの追加点が大きかった」「あの場面の出塁が得点につながった」と、バッティングでもしっかりと仕事をしている。
的確な守備位置と打球を追うスピードの速さで、ファインプレーをファインプレーに見せないのも「斉藤らしさ」である。
「今頃そこかよって思われるかもしれないけど」
斉藤は言う。
「試合に出るときに心掛けているのは、今、持っている自分の力を出し切ることですね。中途半端にやって後悔するより、『これをやってだめだったらしょうがない』くらいの精神状態でいます。もちろん打てなかったら悔しいし、ミスしたら悔しいのですけど、それでも“出し切って”のプレーだったら後悔も少ないはずですから」
物静かで、淡々として見える斉藤だが、それでも今シーズンに関しては例年に比べ「気持ちを前面に出していこう」と努めているという。
「もちろんフォームなど技術的な部分はいろいろと改良してきたんですけど、今は、気持ちがいちばん大事かなと思います。周りの人からしたら『今頃そこかよ』って思われるかもしれないけれど、ここ数年、精神面の大切さを余計感じています」