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ホース、噴霧器、野菜の水切り器!
サッカー高校総体で驚きの酷暑対策。
posted2018/08/21 08:00
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph by
Toshihide Ishikura
8月8日、三重県鈴鹿市で開催されたインターハイ(高校総体)の男子サッカー競技2回戦。熊本県代表の大津は、今年1月の全国高校選手権で優勝した前橋育英(群馬)に3-0で快勝した。
大津の3年生・坂井壱謙は試合終了後すぐ、グラウンド脇の水道に向かった。登録メンバーには入っておらず、選手のサポート役としてチームに帯同している坂井は、大事なミッションを遂行するために、いち早く動き始めていた。
手に握られていたのは「ホース」。
試合を終えて引き揚げてきた選手たちは水道に向かい、ウエアやストッキングを脱ぐと、坂井が設置したホースを使って体に水をかけ始めた。翌日の3回戦に向けて、すぐに体を冷やしてコンディションを整えるためだ。この水道は、蛇口が下向きで固定されているタイプ。ホースがついていなければ、選手たちは効率良く水をかけることはできなかった。
用意されていたホースは短いものが6本、長いものが1本で、長いものは水道の位置などで必要な場合に備えるのと同時に、短いものの予備を兼ねている。飲料用の水をボトルなどにためる際にも使用するそうだ。
確かに水道は、そのままでは使いづらいことも多い。簡単なアイテムの利便性の良さを目の当たりにして、思わず膝を打つ思いだった。
体を冷やすため多種多様な道具が。
例年以上の猛暑に見舞われた今年の夏、インターハイの戦いも過酷を極めた。男子サッカーは例年通り、1、2、3回戦を3日連続で消化し、1日の休息日を挟んで、準々決勝から決勝までが再び3連戦。この条件で勝ち抜くためにはピッチ上の技術・戦術だけでなく、試合と試合の間、さらにはハーフタイムなどに、選手の体力をどれだけ回復させられるかも大きなポイントになる。
酷暑下の連戦の悪影響についての議論は、ひとまず置いておく。真夏のインターハイのコンディショニングで重要なのは、とにかく体を冷やすこと。そのために各校はそれぞれの考えに基づき、多種多様な「道具」を持ち込んでいた。