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三上朋也はDeNAの「長男坊」だ。
出しゃばらないのになぜか目立つ男。 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

PROFILE

photograph byKyodo News

posted2018/07/22 09:00

三上朋也はDeNAの「長男坊」だ。出しゃばらないのになぜか目立つ男。<Number Web> photograph by Kyodo News

高校卒業時には野手での指名の可能性もあったが、投手にこだわり大学・社会人を経てプロ入り。三上朋也の選択は見事に実った。

昨年経験した大スランプの記憶。

 昨年、経験した忘れられないことがある。夏場、三上はコンディショニングに失敗し、著しく調子を落としてしまった。どう修正していいのか分からなくなり、自分を完全に見失い袋小路にはまってしまった。

 8月の防御率は11.25。チームにとって大事な時期にファーム落ちを余儀なくされた。忸怩たる思い。プロになって初めての大スランプだった。

「バラバラで手応えのある投球がまったくできないし、それに比例し結果も出ずダブルパンチでしたね……。失敗の原因は何か冷静に分析したとき、ひとつに股関節の動きや胸郭周りの動きに問題がありました。このあたりの動きが鈍くなると全体的なバランスを崩しやすい。いかに自分の体を意のままにコントロールできるのか。そこが大事になってくると思いますね」

 大きな教訓だったと三上は言う。そして「二度とこんな思いはしたくない」と誓った。

「求められるだけ、僕は幸せ」

 昨季まで三上は勝ちパターンを任されていたが、今季はそれに限らず、早い回やビハインドでも颯爽とマウンドに上がる。7月16日のヤクルト戦では、セーブに失敗した山崎に代わって登場すると、きっちりとアウトを奪った。過去にも山崎が不調に陥り三上が代わって試合を締めるなど、ここぞという場面でのフォローには心強いものがある。

「試合にはスッと入れるか? ええ、大丈夫ですよ。今回はたまたまヤス(山崎)をバックアップしましたが、今シーズンは8回もあれば6回の登板もある。自分としては柔軟に対応して役に立てればいいなって」

 三上は投げられる喜びを享受している。

「求められるだけ、僕は幸せだと思うんですよ。負けている試合で“三上しかない”ってなれば、まったく構わないですしね」

 まさに縁の下の力持ち。ルーキーイヤーはクローザーを務め、以後セットアッパーとしてチームを支えている。ここ数年のチーム力の上昇を鑑みれば、三上の存在なくしては語れない。

【次ページ】 サヨナラを浴びた日本Sに逆襲を。

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