ロシアW杯PRESSBACK NUMBER
W杯優勝は20年ぶり2度目の偉業!
個が組織の中で輝いた若きフランス。
text by
原山裕平Yuhei Harayama
photograph byGetty Images
posted2018/07/16 13:00
早速新しいユニフォームに袖を通したグリーズマン。ムバッペが示す先に、代表の象徴・雄鶏と、優勝2回目を表す2つの星が。
終盤には疲労の色が濃かったクロアチア。
65分、エリア手前でボールを受け、間髪入れずに右足を一閃。
コンパクトな振りからは想像もつかない地を這うような弾丸ミドルが、アッという間にネットを揺さぶった。クロアチアの守護神ダニエル・スバシッチもお手上げの驚愕の一撃だった。
ムバッペは今大会4点目。ロシアの地で最高の輝きを放った超新星がゴールラッシュを締めくくり、フランスの祝福ムードをさらに加速させた。
その後、ミスから失点したものの、大勢に影響はなかった。諦めることを知らなかったクロアチアも終盤には疲労の色をにじませ、フランスの強さの前に、打ちひしがれているようにさえ見えた。
平均年齢25歳の世界王者チーム誕生!
ジネディーヌ・ジダン、ティエリ・アンリ、リリアン・テュラムなどを擁して、世界の頂点に立ったのは自国開催の1998年大会。あれから20年、当時キャプテンだった指揮官デシャンに率いられたチームが、2度目の世界チャンピオンに輝いた。
チームの平均年齢は25歳を少し超えたばかり。20年前の栄光を知る由もない世代だ。19歳のムバッペは生まれてもいなかった。デシャン監督は今大会を通じて「巧さはあるが、まだまだ改善の余地はある」と、若いチームに常に成長を求めてきた。そして選手たちもそれに応えるかのように、試合を重ねるごとに成熟していった。
やんちゃで奔放なグリーズマンや、精神的にムラのあったポグバもフォア・ザ・チームに徹し、献身性を保ち続けた。圧倒的な個性に加え、強固な組織力を携えたレ・ブルーはいつしか、世界王者に相応しい貫禄を身に付けていた。
そして、このチームはまだ完成形を見ていない。果たして、どこまで強くなるのか――。フランスの黄金時代の幕開けを感じさせる戴冠だった。