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一見、懐かない野良猫だけど……。
大迫勇也の言葉は短くも心を掴む。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byGetty Images
posted2018/06/28 11:40
現地で記者会見に臨む大迫。鹿島時代は超のつく感覚派で、言葉にするのが苦手だったが、そうした部分でも大きく成長している。
短時間で使えるワードをくれる。
その微かな逡巡は大迫にも伝わり「話すことありません」と、ビシっと返答されるのだ。話が短すぎる、その短さたるやハンパない! とスポーツ紙の記事になっているのを見たことまであるが、本当に短いのだ。
だが、大迫のハンパなさはそこではないと筆者は思っている。かなり以前からそうだが、たとえ30秒でも話をすれば必ずそこに実のある話、フレーズが盛り込まれている。本人はそんなことを意識しているわけではないので、とても自然な言葉として出てくる。
取材者の目線でいえば、大迫は短時間で使えるワードをくれる効率の良さ、言葉の発し方自体に特徴のある選手なのだ。そういったタイプの選手はそういるものではなく、長く話してもいつもとそれほど変わらない、という選手も多い。
それはそれで話を聞くのが楽しかったりもするが、大迫の場合はその短さと内容量のバランスがハンパないのだ。そして、その態度が概ね誰に対しても変わらないあたりも、好感が持てる。
超有名密着ドキュメンタリー番組でもその態度は変わらず、スタッフはさぞ苦労しただろうなと思った。たとえるなら誰にも懐かない野良猫、といった感じだろうか。
「ほんとミスすることを承知の上で」
先のセネガル戦で、大迫は大きなチャンスを外している。だが、次に向けて切り替えていかねばならない、という話は少し丁寧にしてくれた。
「チャンスは決めなきゃいけないし、悔しかった場面ですけど、僕らだけじゃなく相手も外しているので。そこで、メンタル的に折れる方がダメなことであって、僕らはほんとミスすることを承知の上でチャレンジするしかないと思ってるし、うん。そこはもう続けて続けて前を向いてやるしかないですね」
例えば、続けて続けてと2回続けて噛み締めながら話すあたり、ぐっとこちらの心を掴むのである。