サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
西野監督が甦らせた「当事者意識」。
選手を大人扱いすることの効果は。
posted2018/06/17 11:00
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Getty Images
西野ジャパンはオーストリア・ゼーフェルトでの合宿を終え、ロシアでの拠点となるカザンに入った。始動してまだ1カ月も経たないチームがいよいよ、現地入りしてしまったわけだ。
ここ3日ほどでの、スペイン代表のロペテギ解任の流れほどのスピード感と衝撃ではなかったものの、新チームが動き出してからロシアに入るまでの時間はやはりあっという間に感じられた。
合宿の最後に行われたパラグアイ戦に勝利したことで、初めて結果を手にしたチームは安堵感に包まれていた。それまで、いくら指揮官が「なぜネガティブにならなくてはいけないのか」と記者会見で逆に質問を放ち、選手たちが呼応するように「徐々にうまくいくようになっている」「手応えがある」などと言っても、結果が出なければ虚しく響くというもの。
だが、W杯に出られないパラグアイが相手であっても、3月には2試合とも勝てなかったのだから、今回は勝利したこと自体に大きな意味がある。なんといっても本大会は結果で争うのだから。
「西野さんは意見を聞いてくれる」
スイス戦、パラグアイ戦という流れの中で、これまでと大きな違いがあったのは、選手たちの言葉に主体性や一貫性のようなものが生まれてきたことだろう。テーマはこれだ、と試合前に言い、試合でそのテーマを実践、試合後に振り返り、検証……という流れが感じられたように思う。
選手たちが口にする「西野さんは(ハリルホジッチ前監督とは違い)意見を聞いてくれる」ということはつまり、主体性を求められているということの証でもある。
ハリル時代は、指揮官の指示に対して自分たちでその場で確認するように話し合うことも制止されていたというが、それは一方で「ハリルがこう求めるから」という言い訳可能な状況でもあったということ。極端に言えば「監督の言う通りにしたら失敗した」という、いわば責任逃れが可能だったわけだ。