ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
「2018年の桜庭和志」が目指すもの。
地味な寝技で楽しませる斬新な大会。
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2018/06/05 11:30
プロレス界の救世主となった桜庭和志。グラップリングの世界でも革命を起こす!
「地味で分かりづらい」常識を覆す。
試合はグラップリング(組み技のみ)ルールで行われ、5人1チームのチーム対抗ワンデイトーナメントという形式。勝敗は一本、失神、失格で決まり、8分間で決着がつかない場合は引き分け。それぞれ先鋒から大将までの勝ち抜き戦で行われる。
「QUINTET」のユニークなところは、勝利を追求しながらも、観客が見て面白い試合を提供することを第一に考えているところ。消極的な動きにはレフェリーから「指導」を与えられ、指導3回で「失格」負けになるというルールは、選手のアグレッシブさを喚起させるためのものだ。
4月11日に両国国技館で行われた「QUINTET」の第1回大会は、それが功を奏し、ファンや関係者から「予想以上に面白かった」との声が続出した。
グラップリングの試合は、「地味」で「わかりづらい」と思われがちであったが、桜庭はその常識を覆そうとしているのだ。
寝技だけで世界を沸かせてみせる。
6月9日には、ディファ有明で第2回大会を開催。そのポスターには、こんなコピーが書かれていた。
寝技だけで世界を沸かせる。
俺たちにはそれができる。
かつてバーリ・トゥードを、みんなが楽しめるエンターテインメントに昇華させた英雄が、今度はグラップリングでそれをやってのけようとしている。
それが2018年の桜庭和志なのだ。