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イチローが考える大谷翔平の超才能。
速球や長打力より大事な能力とは?
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byKyodo News
posted2018/05/12 07:00
大谷とひとしきり言葉を交わしたイチローは、カノとゴードンの方を向いて満面の笑み。
「対戦したいですよ、それは」
『投手大谷』が7回途中6安打、2失点、6奪三振で勝ち投手。
大谷も自身の投球には一定の満足感を示した。
「制球もアメリカに来てから一番思った通りに投げられた」
一方のイチローはテレビ観戦に終わった悔しさをジョークで紛らわした。
「全部テレビですからね。ブラジルで見ているのと同じですから」
2日前、『打者大谷』の持つ才能にはテレビ観戦でも称えることが出来たのに、『投手大谷』には気の利いた言葉は出てこなった。
「対戦したいですよ、それは。それはそうでしょう。したいよ。そりゃ」
イチローが語気を強めたのに対し、大谷は唇を噛んだ。
「今回、もしかしたら出来るかもしれないと思っていたので、僕自身も(対戦を)やる中でたくさん勉強になることもあると思いますし、そこはもう……過ぎたことなので……」
夢対決。ふたりがどれほどにこのときを待ち望んでいたことであろうか。
そして、“祭りのあと”。
来季への期待は残るものの、喪失感だけが漂った。