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伊藤ふたば 16歳、土肥圭太 17歳。
ふたりのユースが見据える“世界地図”。
posted2018/05/10 11:00
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph by
AFLO
ボルダリング・ワールドカップで日本勢が男女とも華々しい活躍を見せている。
4月に開幕したスポーツクライミングW杯シーズンで、日本勢としては2年ぶりのボルダリングW杯の個人年間王者の獲得に向けて好スタートを切った。初戦のスイス・マイリンゲン大会で野中生萌(のなか・みほう)が2年ぶりの優勝に笑顔を弾けさせると、翌週に行われた第2戦ロシア・モスクワ大会で男子の楢﨑智亜(ならさき・ともあ)も2年ぶりに表彰台の中央に立った。
野口啓代(のぐち・あきよ)も2戦連続で3位になるなど、今シーズンもボルダリングW杯は国別5連覇を狙う日本勢が優勝争いの中心になって進む様相を呈している。
そうしたなか、ユース年代ながらオリンピック強化選手に選ばれている高校1年の伊藤ふたばと、高校3年の土肥圭太(どひ・けいた)が、初参戦のボルダリングW杯で奮闘する姿も光っている。
デビュー戦となったマイリンゲン大会の順位は伊藤が27位、土肥が35位。
伊藤は「雰囲気も、出ている選手の気合も(これまでと)全部が違った。その中で結果を出すのは難しいことだなと思った」(4/14サンケイスポーツ)と悔しさを滲ませれば、土肥は「いまの僕の実力では予選突破は厳しかったと感じました。準決勝に進出するには何をどうしたらいいのか……」と途方に暮れた。
だが、予選敗退と結果は揮わなかったものの、パフォーマンスは今後の可能性を感じさせた。
伊藤が完登した5課題目は、予選同組50選手のうち完登はわずか7選手という難易度の高いものであり、土肥も17選手が全完登して大混戦になった予選2組で、W杯経験豊富な選手たちに食らいついて4完登5ゾーンで18位と善戦した。