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中邑真輔“第三形態”で王座再挑戦。
長州、蝶野、内藤と同じヒール転向。
posted2018/04/24 17:30
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.
現地時間の4月8日、アメリカ・ルイジアナ州ニューオリンズ、メルセデスベンツ・スーパードームで行われた、世界最大のプロレス団体WWEの年間最大のイベント「レッスルマニア34」。
この最高の舞台で中邑真輔は、ジャイアント馬場、アントニオ猪木も成し遂げることができなかった、日本人初のWWE王座獲得が期待されたが、王者AJスタイルズのスタイルズクラッシュの前に逆転負け。またしても悲願のベルト奪取はならなかった。
しかし、本当のクライマックスは試合後に待っていた。中邑はAJと抱き合って健闘をたたえた後、自らひざまずいてベルトを手渡すが、次の瞬間、拳でAJの股間を一撃! うずくまるAJを踏みつけ、さらに必殺のキンシャサでKOし、悪態をつきながらバックステージへと消えていった。
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中邑真輔、衝撃のヒール転向だ。
ヒール転向は人気とタイミングが勝負。
ヒール転向とは、ベビーフェイス(善玉、正統派)が突如、ヒール(悪玉、悪役)に寝返ること。ヒールターンとも呼ぶ。人気選手が突如、悪に豹変することでファンに衝撃を与え、新たな展開を生み出す効果があり、これをきっかけにしてさらなるブレイクをはたす選手も多い。
また、ヒールターンは人気選手であればあるほど、そして劇的なタイミングであればあるほど、その効果が大きいといわれている。
その意味では、レッスルマニアという最大の舞台で、WWE王座戴冠の期待が最大限に高まった中での中邑のヒール転向は、まさに最高のタイミングだったと言える。
事実、「レッスルマニア34」以降、WWEの2大ブランドのひとつ「スマックダウン」は、悪に豹変した中邑の先の読めない動向がストーリーの中心となっている。「レッスルマニア34」でWWE王座奪取こそならなかったものの、ヒール転向により主役のひとりとしての座をしっかりとキープすることに成功したのだ。