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コーチに就任した柴田勝頼。彼の頭に引退の文字はない。~父から受け取った闘魂は、まだ消えない~
text by
門馬忠雄Tadao Monma
photograph byEssei Hara
posted2018/04/24 06:00
柴田はコーチ就任に際して「若い選手達に今まで培ってきた基礎や知識や技術、精神論をたたき込んでいきたい」。
ソメイヨシノの満開と同じくして、朗報が届いた。昨年4月、両国国技館大会でのオカダ・カズチカ戦後、急性硬膜下血腫を発症。戦列を離れていた柴田勝頼が3月24日、アメリカ・ロサンゼルスに開設した新日本プロレス道場のコーチに就任した。この知らせを聞いて、「本当によかった!」と安堵した春なのだ。
実は、問題の両国大会でオカダに敗れ、昏倒する数時間前、私は柴田に「体の具合はよくないんだろう」と声をかけている。本人は「最低ですよ。ボロボロ……」と、なんとも切ない返事。「それはまずいな……」。私がボヤキとともに抱いた危惧が現実となった。気になる選手だっただけに、気が重かった。