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八村塁、今年はNBA入りせず。
大学残留で得られるものとは?
posted2018/04/17 10:30
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Yoko Miyaji
4月8日、八村塁は所属するゴンザガ大からのプレスリリースで、今年のNBAドラフトへのアーリーエントリーを見送り、今年秋からの新シーズンも大学に残ることを発表した。この発表を受けて、アメリカ大手のスポーツメディア、ESPNでもウェブサイトにニュース記事が掲載されたことからも、注目度の高さがうかがえる。
そのESPNの記事では、NBAに向けての八村の課題として外からのシュート力を伸ばすことだと指摘されていた。確かに、終わったばかりの2017-'18シーズンの八村はゴール近くから攻めることが多く、3Pシュートはシーズン合計わずか26本しか打っておらず、そのうち決めたのは5本にすぎなかった。外からのシュート力がない選手は試合に使ってもらいにくい時代だけに、確かにこの数字は物足りない。
もっとも、八村にとっては3Pシュートよりさらに大事な課題がある。シュート力はNBAに行ってからでもいくらでも伸ばすことができるが、これがなければNBAの世界で戦い、生き延びることが難しく、大学の間に身につけておくべき課題だ。
それは闘争心──誰にも負けたくない、どんなことをしても勝つという強い気持ちだ。
「ルイはもともとナイスキッドだから」
去年秋頃の八村は、闘争心以前に、失敗することを恐れる気持ちがあった。コーチも指摘し、本人もそのことを認めていた。それでも、この課題はシーズンを戦う中で自然と乗り越えることができたという。チームが勝つために自分の役割をこなそうとするなかで、チームとしての自信を自分の力にも変えることができたからだった。
その次のステップとして求められたのは、八村自身がまわりに自信を与えるような存在になることだ。そのためにも、強い気持ちが重要だった。
ゴンザガ大のマーク・フューHCは、シーズンを通して八村にあえて厳しいことを言ってきたのだという。
「ルイはもともとナイスキッド(いい子)だから、相手からパンチを2回ぐらい食らってから、戦いに行くときだと決心するようなところがある。毎晩、戦えるようなメンタリティを彼がつけることこそが、私の目標だ。
そのことを、なるべくシンプルな形で教えるようにしている。『キラーにならなくてはいけない。タイガーにならなくてはいけない』と言っているんだ」