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“マイアミの奇跡”を知っているか?
西野朗という男が胸に秘めるもの。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKatsuro Okazawa/AFLO
posted2018/04/16 07:00
1996年アトランタ五輪、「マイアミの奇跡」。A代表では日本はいまだブラジルに勝利したことがない。
日本代表でのチーム作りは?
これまで西野が見せてきたサッカーは、システムありきではない。そのうえで、韓国をベスト4へ導いたフース・ヒディンクについての分析を読み返す。そこに、日本代表で見せていくであろうチーム作りのヒントが隠されていた。
「3トップにすると、ワイドのポジションの選手は個人でいかざるを得ない局面があるわけだけど、ヒディンクはそういうことのできる選手をキャスティングしながら、グループでやっていく術を植え付けたというかね。
システムありきで相手を崩していない。3-4-3がダメならさらに攻撃的な選手を入れたり、攻撃的なポジションチェンジをしていったり。韓国でのヒディンクは、自分のなかで相当にインパクトが強い。一人ひとりの個性を尊重したうえでの効果的なスタイルには、刺激をもらった」
技術、規律、組織というキーワード。
グループリーグでコロンビア、セネガル、ポーランドと対戦するロシアW杯の日本は、強者から勝点を奪っていかなければならない立場だ。西野が実際に采配を揮った22年前のアトランタ五輪にも、ヒディンクが指揮した日韓W杯の韓国にも、置きかえることができるだろう。
12日の記者会見で、西野は「日本化した日本のフットボールはある」と話した。「技術を生かしたり、規律や組織に基づいて結束して戦える強さ、選手同士が化学反応を起こして戦える強さがある。そういうものを構築したうえで、選手たちがクラブで出しているものをストレートに出せる状況を作りたい」と、熱を込めて語った。
現場主義を貫いてきたゆえに、日本代表監督への就任は今回が初めてとなった。胸に秘めてきた日本サッカーへの思いを、西野は63歳で迎えるロシアW杯にすべて注ぎ込む。