ROAD TO THE DERBY 2018BACK NUMBER
柴田大知とマイネルファンロン。
苦労人が皐月賞で誓う“恩返し”。
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byKeiji Ishikawa
posted2018/04/11 07:30
5戦1勝ながら、3着を外したことはないマイネルファンロン。父ステイゴールドは長く成長したが、息子はどうだろうか。
マイネルファンロンとの出会い。
そんな柴田が'17年の夏に出会ったのがマイネルファンロンだった。美浦・手塚貴久厩舎のステイゴールド産駒は、母系がマイネテレジア→マイネヌーヴェル→マイネプリテンダーと遡る“マイネル”ゆかりの血統だった。
「デビュー前の調教に乗る前に『動く馬』と聞き、実際乗ったら良い馬で、本当に良い動きをしてくれました」
そう口を開いた後、「ただ……」と続けた。
「まだ成長しきっていない感じで、緩さがありました」
それでも新馬戦はある程度「やれるだろう」と思って臨んだ。しかし……。
「気を使って進んで行こうとしませんでした。その分、負けてしまったけど、力負けと言う感じではありませんでした」
逃げ馬をハナだけ捉え切れずの2着だった。
しかし、柴田のその言葉を裏付けるように2戦目であっさり逃げ切り勝ちをすると、3、4戦目の500万下条件は3着、2着。善戦するも勝ち上がることは出来なかった。
安定感のあるスタート。
それでも毎回、絶好のスタートを切る。4戦目のフリージア賞は不利と言われる東京競馬場、芝2000メートルの外枠(11頭立て10番枠)ということもあり、後方からの競馬となったが、スタート自体はポンと出ていた。
「1戦ごとに力をつけてきているのでスタートは出てくれます。フリージアSは後方からの競馬になったけど、それでも最後は2着まできてくれたので、スプリングSでは何とか皐月賞の出走権を取ろうという思いで臨みました」
こうして駒を進めてきたスプリングSだが、決して楽なメンバー構成ではなかった。
GI、朝日杯フューチュリティSで2着したステルヴィオがいた。年度代表馬モーリスの全弟として評判になっていたルーカスがいた。さらに未勝利、500万下条件と連勝中のエポカドーロもいた。
「しかも外枠(13頭立て12番枠)になったので、ある程度の位置にはつけないとダメだと思い、スタートから多少出していきました」