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創成館が実は優勝候補なのでは?
秋の快進撃から、センバツ初勝利。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/03/26 17:00
好投のエースを6回でスパっと代える手法も、トーナメント向きに見える創成館。果たしてどこまで上り詰めるだろうか。
「チーム内に切磋琢磨する空気がある」
相手の下関国際は昨夏に続く出場で粘り強く、試合は終盤のつばぜり合いへと向かっていったが、創成館は選手交代で守備のシフトを次々に替えて試合を締めていった。
8回から守備についた三塁手の杉原はいう。
「昨秋からチーム内で切磋琢磨する空気があって、いい感じになっていると思います。ベンチにいる1人ひとりに役割があります。僕はケガでベストじゃないですけど、監督からは5回以降に出番があると言われていたので、みんな準備をしていました」
昨今は、私学の強豪校であっても、レギュラーを固定するチームが多いが、創成館はしっかりと2学年総勢80人の部員の力をチーム力へとつなげている。
大阪桐蔭に勝っても「優勝だなんて」。
とはいえ、選手層が厚くそんな力強さがある中にあって、稙田監督、峯主将らの今大会での目標は決して高いものではない。
稙田監督は言う。
「いやぁ、僕たちはまだセンバツ大会で1勝もしていませんでしたから、優勝だなんて思っていませんよ。もちろん、トーナメント戦なので勝ち上がっていきたいという気持ちはありますけど、ひとつひとつ勝っていくことしか考えていません。無欲で戦っていこうと選手に話しています」
仮にも昨秋は、ドラフト候補5人を擁し「最強世代」と呼ばれる大阪桐蔭に力で勝ちきったチームなのだ。もっと欲を出してもいいはずだが、主将の峯も同じ気持ちだという。
「神宮大会で甲子園常連校の聖光学院や大阪桐蔭に勝てたことは自信には繋がっていますけど、自分たちは挑戦者なので、目の前の試合を一戦一戦戦っていくことしか頭にないです」
大阪桐蔭が優勝候補の筆頭で、それに明徳義塾が続き、静岡、東邦(愛知)などとともに創成館が後に続くというのが大会前の下馬評だ。しかし、この日の戦いぶりを見る限り、創成館には優勝候補の筆頭格に推していいくらいのチーム力を感じずにはいられない。