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創成館が実は優勝候補なのでは?
秋の快進撃から、センバツ初勝利。
posted2018/03/26 17:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kyodo News
存在感を見せつけるかのような戦いぶりだった。
昨秋九州大会の覇者・創成館(長崎)が第4日の第1試合に登場。3-1で中国大会準優勝の下関国際(山口)に勝利してセンバツ初勝利を挙げた。1回裏の攻撃では、先頭打者の峯圭汰が左中間を破る二塁打で出塁すると、続く2番・藤優璃の適時打で1点を先制。電光石火の攻撃で試合の主導権を握るとそのまま試合を制したのである。
「1番の峯の二塁打が今日のすべてでした。あれでチームが勢いにのってくれた」
稙田龍生監督はそう振り返っている。
センバツ初勝利だからか、指揮官の言葉は初々しいが、創成館の力強さは昨秋の神宮大会で証明されている。
九州大会覇者として臨んだ同大会では、2回戦で甲子園常連校の聖光学院(福島)を6-4で破ると、準決勝の大阪桐蔭戦では投打で圧倒して7-4で勝利した。
決勝戦で明徳義塾(高知)に敗れたものの、安定王者といわれた大阪桐蔭を破った戦いぶりは甲子園強豪校と比肩するものだった。
2人の投手でほぼ完璧なリレー。
派手な選手がそう多くいるわけではないが、選手層の厚さがチーム力になっている。
まず、投手陣。この日先発したエースの川原陸は、長身からの角度のあるボールで打者を打ち取っていく。カーブ、スライダーを散らし、的を絞らせない。
7回からクローザーを務めた伊藤大和はリリースの位置を様々変化させる幻惑投法で打者を牛耳る。川原が6回1失点で抑え、伊藤は9回表1死満塁のピンチを招くも、終わってみれば3イニングを無失点に抑えた。他にも左腕の七俵陸、右上手投げの戸田達也とタイプの違った投手を揃えている。
一方の野手陣は、昨秋の神宮大会で上位を打った野口恭祐、杉原健介がケガなどで先発を外れる中、代役の選手たちが適材適所に活躍した。
昨秋は3番だった峯がリードオフマンの役割を果たすと、攻撃的2番の藤は初回に続いて7回にも、峯を三塁に置いて打点を挙げた。「峯の出塁を次につなぐ気持ちだった」と藤は話したが、チームとしての戦い方が整理されている印象だった。