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二刀流の調整は、時間が2倍必要だ。
大谷翔平が開幕に焦る必要はない。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2018/03/21 07:00
春季キャンプもいよいよ終盤。29日オークランドでの開幕戦まで、あと10日を切った。
イチローも「(世界一の才能と)僕もそう思います」。
だが、この課題への答えは極めて明確だ。
時間が足りないならば、与えればいいのだから。
投手としての登板回数や、打者としての打席数、ともに他の選手と同様の数字に達するには、「プラス2週間」ほどの猶予を与えれば追いつくだろう。
つまり、投球数、打席数が他選手と同じになるまで待てばいいだけのこと。個人的にはその数をこなすことが先決であって、開幕メジャーに拘る必要はないと思っている。
それに、野球というスポーツは、「1球」で劇的な変化が生まれることも事実だ。開幕まであと10日を切ったが、投打ともに「1球」で光が差し込み、急激な適応を見せる可能性がある。
また、メジャー通算3080安打のレジェンド・イチローをして、「誰が見ても世界一の才能と言ってもいいんだろうと、よく聞きますし、実際に見たことはないんですけど、僕もそう思います」と言わしめる存在はこれまで何人もいなかった。
それほどの選手なのだ。
常識を超えていくさらなる原動力へ……。
大谷が、その「才能」通りの力発揮して、3月29日の開幕までに間に合わせてくる可能性は、十分にある。
この春、メジャーでの二刀流挑戦をこの目で見て、つくづくと感じている。
この23歳の若者は日本で大変なことをやってきたのだ、と。
そして、そのとんでもない経験が、常識を超えていくさらなる原動力になる、と。
きっと彼ならば……。
なぜかそんな思いに、とらわれている。