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ハマのプーさんは“平成のオレ流”。
宮崎敏郎「自分を変えたくなかった」 

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

PROFILE

photograph byHiroaki Yamaguchi

posted2018/03/18 11:30

ハマのプーさんは“平成のオレ流”。宮崎敏郎「自分を変えたくなかった」<Number Web> photograph by Hiroaki Yamaguchi

2017年にブレイクしたように見えるが、実は2016年にも100試合以上に出場してOPSは.800を超えていたのだ。

「自分を貫き通してダメならば仕方がない」

 選手の選択はさまざまだ。美学を貫く者もいれば、藁をもつかむ思いで方向転換する者もいる。例えばソフトバンクの内川聖一は、かつて所属したベイスターズ時代、当初は自分のスタイルを崩すことなく守り抜いていたが、結果を出すことができず危機感を持つとプライドを投げ捨て当時コーチだった杉村繁(現・ヤクルト)にすべてを任せ打撃改革することで、首位打者を獲得した。今では言うまでもなく球界を代表する大打者に成長している。

 だが宮崎にはこのような他者にゆだねる選択肢はなかったという。それは選手生命を賭けるほどの信念だった。

「悔いを残したくないという思いが大きかったですね。プロになって他の選手を見てきましたが色んな経験をして辞めていきます。やっぱり自分を変えたくなかったし、自分を貫き通してダメならばダメで仕方がない。それは年を重ねるごとに確信になっていったんです」

 “プーさん”の愛称で親しまれる宮崎の表情に厳しさが浮かぶ。無念を抱いたまま球界を去った仲間のためにも、自分は頑張らなければいけない。

「課題は言いません。秘密主義なんで」

 さて今シーズン、昨年と大きく異なるのは、自分のことばかりではなくチームの主軸としてリーグ優勝、日本一に向かいチームの勝利に貢献することである。

「昨年はビールかけできて最高だったので、今年はチームやファンの方々が望んでいるリーグ優勝をして、もう一度日本シリーズに進みたい。自分としてはとにかくチームにとってプラスになれる存在になりたい」

 首位打者として当然、今季はマークが厳しくなる。バットマンとして真価を問われる1年になりそうだ。

「そこは覚悟していますし、昨年の結果を本物にするためにも今年はすごく重要。正直、不安がないわけではない。まずはシーズンに入って、一本出てからがスタート。課題としては、スタイルは変えませんが昨年は打ち損じがあったり、ファーストストライクを弱気に振ってしまうことがあったので、そこをしっかりと修正していきたいと思います。まあ、あまり課題はないんですけど、あったとしても言いません。秘密主義なんで」

 そういうと宮崎は笑った。秘密もなにも宮崎の技術や感覚をロジカルに説明するのはそもそも困難だ。本人でさえ「伝えたいけど、伝えられない」と言うほどなのだから。

 束縛を嫌う生粋のフリースインガーは、今年もハマのクリーンナップで伸び伸びと打棒を振るう。

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宮崎敏郎
横浜DeNAベイスターズ

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