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パラで世界一になって五輪も狙う!
芦田創が目指すスーパーアスリート。
text by
南しずかShizuka Minami
photograph byShizuka Minami
posted2018/03/12 08:00
目指すは世界記録! そして、その先にある五輪だという芦田創。
自己ベスト以下で優勝できたパラの大会。
転機が訪れたのは、高2の合宿の時。同校の恩師の母校(大阪体育大学)のOBで'08年の北京パラリンピック走り幅跳び銀メダリストの山本篤に出会った。芦田の右腕に気づいた山本から「パラの世界に来いよ」と誘われた。
興味本位で初めて出場した'11年の障害者陸上の全国大会の400mで、日本新記録をマークする。
「全くオモロない……」
自己ベストに及ばない記録で優勝できてしまったことで、張り合いがなかった。加えて、障害と葛藤していた年頃に、自分の名前が障害者スポーツの歴史に載ることは、障害の現実を真正面から突きつけられた気がして辛かった。
やる気スイッチが完全に切れた。
早稲田大学に進学するも、真剣に陸上に取り組むことなく、3年間全く記録が伸びなかった。
「お前は障害に甘えている」
「お前は障害に甘えてる」
大学4年の春に、初めて会った現パーソナルコーチで同大学競走部の礒繁雄監督から叱咤された。
「お前はパラの選手かもしれないが、一流のアスリートではない。一流のアスリートっていうのは障害があるかどうか関係なく、人々を魅了するパフォーマンスができるんだ」
今まで誰からも言われることがなかった心の葛藤にグッと入り込んでくれた気がして、礒監督についていきたいと思った。
また、ちょうど就活のために自分を見つめ直し、「自分のアイデンティティーは『右腕』だ!」と感じ始めていた時期と重なった。ずっと人生隣合わせだった右腕から色んなことを学んできたことに気づき、初めて障害を誇りに思えた。
再び、やる気スイッチが入った。