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インド出身の21歳、可愛いシャルマ。
ウッズを彷彿させた米ツアー初参戦。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/03/06 11:40
世界選手権シリーズ最年少優勝に挑んだシュバンカル・シャルマ。愛嬌のある表情で人気も上がりそうだ。
最終日、着替えもせずにインドへ旅立つ。
「少し残念。でも、恐れを知らないフィルの素晴らしいゴルフをこの目で見ることができて、うれしかった。いくつかのホールで、フィルはクレイジーなクラブを選択していた。でも、それがフィルらしさだよね。今日のことを僕は一生忘れない」
メキシコで優勝したら、マスターズに出られる。「それしか僕は知らない」と言っていたシャルマは、9位になったことで今後のどの試合に出られるのか、ランキングがどう動くのか、「何もわからない」と静かに笑った。「すぐにインドに帰り、明日からはインドオープンに出る。僕のホームコースでの開催だから楽しみだ」。最後には愛らしい笑顔を輝かせた。
その日の夜。ホテルのフロントでチェックアウトしているシャルマ父子に偶然、遭遇した。心身の疲れを快適なホテルのベッドで休める時間は、夢を追い続ける彼らには、きっとないのだろう。メキシコからインドへ。母国に帰るとはいえ、それは帰路というより長い長い旅の途上のワンストップに過ぎない。
「僕の最終目的地は、アメリカのPGAツアーです」
なるほど、旅はまだ始まったばかり。ファイナル・デスティネーション目指して、どんどん歩み続けてほしい。
「行ってらっしゃい、シュバンカル!」
着替えもせずに旅立つインドの父子の後ろ姿を、私はひっそり見送った。