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インド出身の21歳、可愛いシャルマ。
ウッズを彷彿させた米ツアー初参戦。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2018/03/06 11:40
世界選手権シリーズ最年少優勝に挑んだシュバンカル・シャルマ。愛嬌のある表情で人気も上がりそうだ。
アジア、欧州の双方で現在賞金王。
その年、シャルマは16歳でプロ転向。翌2014年、母国の大会で初優勝。
以後アジアツアーを転戦し、昨年終盤には欧州ツアーとの共催大会で勝利を収め、アジアと欧州、双方の出場権を獲得。さらに今年2月、マレーシアのメイバンク選手権で優勝を果たし、現在アジアと欧州双方のツアーの賞金ランクでトップを快走中だ。
メキシコにやってきたときは世界ランキング75位。「トップ50に入ってマスターズに出たい。優勝したら、即マスターズ。是非とも、それを目指したい」
シャルマは臆することなく、笑顔でそう言い切った。
「僕にもできる」と信じて、ついに。
メキシコ選手権の会場に、インドのメディアは皆無だった。シャルマに同行していたのは、息子のプロ転向とほぼ同時にインド陸軍を引退した元大佐の父親モハンだけ。
2人の方針は常に「目標を高く掲げる。自分を信じ続ける」だった。
「憧れの選手を眺め、自分をその選手に置き換えて、その選手になりきる。そして、その選手と同様、いや、それ以上に高い目標を掲げてそこを目指して進んでいくと、いつか必ず夢は現実になる。自分を信じて目標を追い続ければ、夢は必ず叶う」
夜明けまで興奮しながらかじりついたテレビの世界。そこで戦っていたのは、かつては「仮想の自分」だった。
だが、「僕にもできる。やってやる」と信じて歩んできたシャルマは、ついに世界選手権というビッグステージに立ち、憧れのミケルソンと最終日最終組で戦うところまでたどり着いた。それは、まさに「仮想の自分」が現実になった瞬間だった。
だが、直面した現実は甘くはなかった。
「人生で最大のギャラリーだった。大歓声だった」
その中でレジェンドを相手に勝利を競い合うことは、21歳の若者の平常心を奪った。3日間、面白いように決めていたシャルマのパットは最終日には嘘のように入らなくなり、キレキレだったアイアンショットも乱れていった。ミケルソン、ジャスティン・トーマス、セルジオ・ガルシアといったメジャーチャンプたちに、シャルマは追いつかれ、追い抜かれ、終わってみれば首位から6打差の9位になっていた。