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フィジカル勝負に敗れて負傷者続出。
サンウルブズの敗因は見えているか。
text by
永田洋光Hiromitsu Nagata
photograph byKiichi Matsumoto
posted2018/03/05 11:20
フィジカル勝負で常に劣勢を強いられたサンウルブズ。まずはその原因を究明してほしい。
負傷者続出の原因すら突き止められず。
むしろ、この間に選手個々のコンディションを首脳陣がきちんと把握し、管理していたのか。その上できちんとセレクションが行われたのか。試合前のウォーミングアップのメニューと方法に間違いはなかったのか――など、まず自分たちの問題を検証すべきではないのか。
国内シーズンがいつの時点で終了するかは、昨年秋の段階で分かっていたことだ。しかもサンウルブズのメンバーは、日本代表スコッドともかなりの部分で重なっていて、ほとんどの選手のフィジカルデータがジョセフHCの手元にはあるはず。
ならば、本当に「こんな準備期間ではフィジカルを強化できない」と思うのであれば、そのデータをもとに、昨年のシーズン中から選手1人ひとりにフィジカル強化の目標値を明確に与えることだってできただろう。
そうした作業がなされ、緻密なコンディショニングが行われていながらなお負傷者が続出したのであれば、ジョセフHCの言葉は説得力を持つ。が、今のところは、負傷者続出の原因を突き止められず、使える選手も少なくなって、腹立ちまぎれに日程をやり玉に挙げているようにしか聞こえない。
サンウルブズの「今できること」。
そんな“ネガティブ”な敗因ではなく、この試合に見られた“ポジティブ”な面を見るべきだろう。
立川と野口のしなやかなランニングはレベルズの防御にも十分に通用した。立川が入ったことで、中村の持ち味もさらに生きた。今週の南アフリカ遠征には、松島幸太朗も復帰する。さらに開幕戦で活躍したホセア・サウマキとレメキロマノラヴァも間に合った。
準備期間の短さを嘆くよりも、こうした選手たちを使って、日本代表にも活かせる戦い方を構築すること――それが、サンウルブズに求められている「今できること」なのである。